NBDC Research ID: hum0356.v2
研究内容の概要
目的:近年、single cell RNA sequence解析により、adenocarcinoma sequenceを背景とする大腸がんの腫瘍細胞と間質細胞における細胞間相互作用が解析されてきたが、空間的な視点が欠落していた。そのため、がん早期において重要ながん微小環境、特に免疫寛容の獲得機構に関しては明らかではない。今回は、公共データベースより得られたシングルセル解析データと空間的トランスクリプトーム解析データの統合解析により、腺腫がん境界部における免疫寛容および腫瘍微小環境の形成について調べた。この解析により、早期におけるがん細胞と免疫細胞との共局在状況や、浸潤先進部における細胞間相互作用について解析することで、免疫から逃避するメカニズムを明らかにし、新たな治療標的分子を探索する。
方法:手術による摘出検体を液体窒素にて凍結させた。その後、キャプチャ領域に合わせて切断し、クライオスタットを用いて10μmの切片に切り出した。この標本をVisium Spatialスライドに載せ、使用するまで-80 ℃で保存した。組織を透過酵素(10x Genomics: 2000214)で50分間透過処理し、0.1×SSCバッファー(Sigma-Aldrich)で洗浄し、画像化した。全ての工程は、製造元のプロトコール(CG000240 Rev D、CG000160 Rev A)に従って行った。
対象: adenocarcinoma sequenceを背景とした大腸がん症例
データID | 内容 | 制限 | 公開日 |
---|---|---|---|
NGS(Visium Spatial Gene Expression)、病理画像 | 非制限公開 | 2022/12/20 | |
NGS(Visium Spatial Gene Expression)、病理画像 | 非制限公開 | 2024/05/31 |
※リリース情報はこちら
※論文等でデータベース からダウンロードしたデータを含む結果を公表する際には、下記文献を引用いただくか、 NBDCヒトデータベースに登録されたデータを利用した旨について謝辞 (Acknowledgement)に記載して下さい。記載例はこちら。
分子データ
対象 |
【DRA015288 / E-GEAD-579】 adenocarcinoma sequenceを背景とした大腸がん(ICD10:D01.0):1症例 腫瘍組織切片:4検体 【DRA016520 / E-GEAD-619】 adenocarcinoma sequenceを背景とした大腸がん(ICD10:D01.0):2症例(早期がん1例、進行がん1例) 腫瘍組織切片:2検体 |
規模 | Visium Spatial Gene Expression、病理画像 |
対象領域(Target Captureの場合) | - |
Platform | Illumina [NovaSeq 6000] |
ライブラリソース | 切除した凍結腫瘍組織から切り出した厚さ10μmの切片より抽出したRNA |
検体情報(購入の場合) | - |
ライブラリ作製方法(キット名) | Visium Spatial Gene Expression Reagent Kits |
断片化の方法 | 上記キットに準拠(酵素反応) |
ライブラリ構築方法 | Paired-end |
リード長(除:バーコード、アダプタ、プライマー、リンカー) | 118 bp |
解析ソフトウェア | spaceranger-1.2.1 |
リファレンス | GRCh38 |
組織画像 | HE染色 |
DDBJ Sequence Read Archive ID | |
Genomic Expression Archive ID | |
総データ量 |
DRA015288 / E-GEAD-579:142.6 GB(fastq、tif、 png、json、csv) DRA016520 / E-GEAD-619:67.3 GB(fastq、png、json、csv、tsv、mtx、html、cloupe、xlx) |
コメント(利用にあたっての制限事項) | NBDC policy |
提供者情報
研究代表者: 三森 功士
所 属 機 関: 九州大学病院別府病院 外科
プロジェクト/研究グループ名:大腸発がんにおける遺伝子変化の解明と間質の臨床的意義の確立
URL: https://www.beppu.kyushu-u.ac.jp/geka/labo/reseach/
科研費/助成金(Research Project Number):
科研費・助成金名 | タイトル | 研究課題番号 |
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科学研究費助成事業 基盤研究(C) | 大腸がんctDNAの術後早期再発診断システム開発と再発への進化系統樹の臨床的意義 | 21K07179 |
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) | 多領域シークエンスと進化シミュレーションによる大腸がん腫瘍内ダイバーシティの解明 | 20H05039 |
科学研究費助成事業 基盤研究(B) | 大腸初期病変から進行がんへの真の進化様式解明と治療法の確立 | 19H03715 |
科学研究費助成事業 基盤研究(C) | ゲノム進化モデルにより同定された大腸癌におけるタンパク翻訳開始点制御の異常の解明 | 19K09176 |
日本医療研究開発機構(AMED) 次世代がん医療創生研究事業(P-CREATE) | 難治がん特異的エピゲノム変異を標的にしたctDNA検出法の確立 | JP20cm0106475 |
科学研究費助成事業 基盤研究(B) | 大腸初期病変から進行がんへの真の進化様式解明と治療法の確立 | 19H03715 |
科学研究費助成事業 基盤研究(C) | ゲノム進化モデルにより同定された大腸癌におけるタンパク翻訳開始点制御の異常の解明 | 19K09176 |
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) | 多領域シークエンスと進化シミュレーションによる大腸がん腫瘍内ダイバーシティの解明 | 20H05039 |
科学研究費助成事業 基盤研究(C) | ctDNAメチル化検出を実装する新たなアプローチによる大腸癌再発早期診断法の確立 | 20K08930 |
日本医療研究開発機構(AMED) 次世代がん医療創生研究事業(P-CREATE) | 微小環境多様性に連動する難治がんの分子遺伝学的多様性創成機構の解明と新たながん治療法・予測医療技術の開発 | JP19cm0106504 |
日本医療研究開発機構(AMED) 革新的がん医療実用化研究事業 | 大腸がん細胞の多段階悪性化が制御する微小環境形成ネットワーク機構の解明と新規予防治療戦略の確立 | JP19ck0106259 |
関連論文
タイトル | DOI | データID | |
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1 | spatial and single-cell transcriptomics to decipher the cellular society containing HLA-G+ cancer cells and SPP1+ macrophages in colorectal cancer | doi: 10.1016/j.celrep.2022.111929 | DRA015288 E-GEAD-579 |
2 | Spatial and single-cell colocalisation analysis reveals MDK-mediated immunosuppressive environment with regulatory T cells in colorectal carcinogenesis | doi: 10.1016/j.ebiom.2024.105102 | DRA016520 E-GEAD-619 |