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NBDCヒトデータベースでは、ご提供いただいたデータを広くかつ有効に活用していただくことを推奨しているため、国内の研究機関におけるデータ利用のみならず、学術研究や公衆衛生の向上に資する民間企業や海外の機関における研究へのデータ利用も促進しております。
「個人情報の保護に関する法律」(平成15 年法律第57 号。)、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(平成15 年法律第58 号。)及び「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」(平成15 年法律第59 号。)(以下「個人情報保護法」という。)が改正され、2017年5月30日に施行されました。本改正において新たに定義された個人識別符号に該当するゲノムデータを扱う際には、個人情報として取り扱う必要があります。また、個人識別符号に該当するゲノムデータに付随する診断名や検査値等は要配慮個人情報にあたりますので、情報の取得の際には原則同意が必要になります。詳細はFAQをご参照ください。
2018.08.31
Ver. 4.0
はじめに
ヒトに関するデータは、次世代シークエンサーをはじめとした解析技術の発達に伴って膨大な量が産生されつつあり、それらを整理・格納して、生命科学の進展や公衆衛生の向上のために有効に活用するためのルールや仕組みが必要である。
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)バイオサイエンスデータベースセンター(以下、NBDC)では、個人情報の保護に配慮しつつ上述の目的でヒトに関するデータの共有や利用を推進するために、ヒトに関する様々なデータを共有するためのプラットフォーム(以下、『NBDCヒトデータベース』)を設立し、その運用ルールとしてのガイドラインを策定した。
なお、本ガイドラインは、公的資金を用いて産生されたヒトに関するデータ一般に適用することを目的として作成した。ただし、全てのガイドラインとの整合性が確認できているわけではなく、さらには生命科学データに関する世界的な動向、一般社会の科学データに対する考え方も変化していくことが考えられるので、これらに対応していくため、随時必要な修正を加えていくものとする。
<本ガイドラインに関する連絡先>
NBDCデータ共有分科会事務局
https://humandbs.biosciencedbc.jp/contact-us
<『NBDCヒトデータベース』へのデータ提供やデータ利用等に関する連絡先>
NBDCヒトデータ審査委員会事務局
https://humandbs.biosciencedbc.jp/contact-us
目次
- 運用原則
- 用語定義
- 受け入れるデータについて
- 『NBDCヒトデータベース』へのデータの提供について
- 『NBDCヒトデータベース』からのデータの利用について
- 本ガイドラインの改訂手続きについて
- その他
1.運用原則
- 『NBDCヒトデータベース』は以下の原則に基づいて運用される。
- 原則1 公的資金により産生されたヒトに関するデータを広く収集すること
- 原則2 収集したデータを広く共有できるようにすること
- 原則3 研究対象者の権利を可能な限り尊重すること
- NBDCは『NBDCヒトデータベース』の運用において以下の項目を実施する。
- ガイドラインの整備および必要に応じた見直し
- データ提供およびデータ利用申請についての審査
- ウェブサイトの整備等データへのアクセス手段の維持
2.用語定義
- ヒトに関するデータ
- ヒト由来試料を用いた研究等の成果として産生されたデータ。ゲノム等の遺伝情報や、臨床情報、画像情報等を含む。
- 公的資金
- 国、地方公共団体、独立行政法人またはこれらに準ずる組織から提供される資金。
- 研究対象者
- 研究や事業等の活動に自身由来の組織・血液・尿などの試料、もしくは、自身のデータを提供した者。
- データ提供者
- 『NBDCヒトデータベース』へヒトに関するデータを提供する研究代表者。
- データ利用者
- 『NBDCヒトデータベース』のヒトに関するデータを利用する研究代表者および研究代表者がデータ利用申請時に登録した研究代表者と同一機関に所属する研究分担者。
- 研究代表者
- 当該研究について責任を負う研究者(所属機関等の倫理審査委員会へ研究内容を申請し、申請内容が承認された研究者、もしくは倫理審査申請書内に名前を連ねる研究分担者)。
- 非制限公開データ
- アクセスに制限を設けることなく、利用することが可能な公開データ。例えば、すでに発表された論文の集計・統計解析データ等が含まれる。
- 制限公開データ
- データ利用者、利用目的等を明らかにしたうえで、関連研究に従事したことのある研究者が研究のために利用することが可能な公開データ。利用の際には、NBDCヒトデータ審査委員会による審査において承認される必要がある。例えば、次世代シークエンサーから出力されたデータを含む塩基配列データ、ゲノムワイドな変異データ、画像データ、質問票等の個人毎のデータが含まれる。
- 公開待機データ
- 論文発表や知的財産権取得等、データ提供者による成果の公開の後、非制限公開データあるいは制限公開データとして公開される予定のデータ。
- 二次データ
- 一次データを復元することができないよう加工したデータ。
- 所属機関外利用可能サーバ(『機関外サーバ』)
- データ利用者が、所属機関が所有するサーバ以外に、制限公開データの保管や計算処理を行うことが可能なサーバあって、ヒトに関するデータを解析する環境が整っており、かつ、NBDCヒトデータ取扱いセキュリティガイドラインの遵守を含む、運用に関する覚書をJST/NBDCと締結した機関が所有する計算機環境であり、ハイレベル【Type Ⅱ】セキュリティにおいて必要な対策が実施されているサーバ。 (『機関外サーバ』:https://humandbs.biosciencedbc.jp/off-premise-server)
3.受け入れるデータについて
対象データの概要
『NBDCヒトデータベース』には、公的資金を用いたプロジェクト等で産生されたヒトに関するデータを広く受け入れる。多くの研究者間におけるデータの活用を目的としているため、一部の研究グループやコンソーシアム等の共同研究者間に限定されたデータ共有のためのリポジトリとしての利用を目的としたデータ提供は受け付けない。
当該データの種類は公開の有無、アクセス制限のレベルによって以下の3つに分類される(下図参照)。
- 非制限公開データ
- 制限公開データ
- 公開待機データ
『NBDCヒトデータベース』では、1.非制限公開データ、2.制限公開データおよび3.公開待機データを受け入れの対象とする。NBDCヒトデータベースでは、データ提供者が特定の個人(死者を含む。以下同じ)を識別することができることとなる記述等の全部又は一部を取り除き、代わりに当該個人とかかわりのない符号又は番号を付し、その後、さらに符号又は番号の振りなおしを施したデータのみを受け入れている。
4.『NBDCヒトデータベース』へのデータの提供について
4-1.データ提供者の権利
- データ提供者は、インフォームドコンセントの説明文書の中で指定している制限項目(研究対象疾患の限定等)に準じて、データ利用時の制限事項を設定することができる。
- データ提供者は、データを即時公開することが求められるが、論文等による成果公開や知的財産権取得等のために、公開待機データとすることを要求することができる。ただし公開待機の期間については、上記の観点から合理的に必要な期間に限定することとし、具体的にはNBDCヒトデータ審査委員会と別途協議し、決定する。
4-2.データ提供者の責務
- データ提供者は、ヒトに関するデータの由来となる研究対象者に下記<同意文書・説明文書の記載内容例について>の必須項目について説明したうえで、データベースへのデータ登録と国内外の研究者によるデータ共有についての同意を文書で取得し、かつ、当該データ登録とデータ共有について所属機関等の倫理審査委員会の審査・承認を得たうえで、所属機関の長の許可を得ること。ただし、研究全体の当初の倫理審査等においてデータベースへのデータ登録とデータ共有が許可されている場合には、改めて審査を実施する必要はない。
- データ提供者は、データベースへの登録をあらかじめ意図せずに得られた試料等(説明文書においてデータベースへのデータの登録やデータ共有が述べられていない場合等)から得られたヒトに関するデータをNBDCに提供するときは、研究を実施する上で遵守すべき倫理指針に準じた手続きを行うこと(例:再同意の取得、再同意の取得が困難な場合は情報の公開および拒否の機会の保障を行った後、データ提供者の所属機関等の倫理審査委員会の審査・承認を得たうえで、所属機関の長の許可を得ること)。
- データ提供者は、明らかに『ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(ゲノム指針)』や『人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(統合指針)』の対象にならないヒト由来試料※1からのデータをNBDCヒトデータベースへ提供する場合、研究代表者の署名済み『データ提供申請簡易審査希望届』(自由書式)を提出すること(例参照)。提出することで、所属機関等の倫理審査関係書類(研究計画書、インフォームドコンセントの説明文書・同意文書、承認通知書)に替えることができる。
- ※1:【ゲノム指針】学術的な価値が定まり、研究実績として十分に認められ、研究用に広く一般に利用され、かつ、一般に入手可能な組織、細胞、体液及び排泄物並びにこれらから抽出した人のDNA等
- 【統合指針】 既に学術的な価値が定まり、研究用として広く利用され、かつ、一般に入手可能な試料・情報
- NBDCヒトデータ審査委員会では、提供申請時にインフォームドコンセントの説明文書・同意文書のフォームを提出いただき、制限事項の記載内容との整合性の確認を行なうが、インフォームドコンセントに沿った提供内容であるかということについての責任はデータ提供者にあるものとする。
- データ提供者は、NBDCヒトデータ提供申請書への記載内容に沿ったデータを提供すること。
- データ提供者は、NBDCへのデータ提供に際して、特定の個人(死者を含む。以下同じ)を識別することができることとなる記述等の全部又は一部を取り除き、代わりに当該個人とかかわりのない符号又は番号を付し、その後、さらに符号又は番号の振りなおしを施したデータであることを確認すること。また、同意撤回があった際に該当する研究対象者由来のデータを削除するため、原則、対応表は保管すること。
- データ提供者は、NBDCヒトデータ審査委員会との協議に基づいて非制限公開データ、制限公開データ等の分類を選択したうえ、データと共に必要な付随データ(データの説明のためのメタデータおよびクオリティコントロールに必要な情報)をNBDCに提供すること。なお、制限公開データについては、NBDCヒトデータ審査委員会との協議に基づいて、セキュリティレベル(Type Ⅰ、Type Ⅱ)の分類も実施すること。
- データ提供者がNBDCヒトデータ共有ガイドライン等に違反してデータを提供した場合は、NBDCは登録済データを公開停止とする。データ提供者は、必要な変更や手続き等を実施した上でデータの再登録を一定の期間内に行うこと。再登録が行われない場合は当該データに対するアクセッション番号を取消すと共にその事実を公表し、さらにデータ提供者の所属機関の長に報告する。
- データ提供者は、NBDCヒトデータベースへデータを提供している研究対象者から同意撤回もしくはオプトアウトでの拒否があった際には、以降のデータ利用を避けるため、当該データの破棄に協力すること。
<同意文書・説明文書の記載内容例について>
◆同意文書
- データベースへの研究データの登録及び国内外の多くの研究者間におけるデータの共有について
◆説明文書
-
データベースへの研究データの登録及び国内外の多くの研究者間における共有について
-
[具体的な記述例:本研究で得られたデータは、公衆衛生の向上に貢献する他の研究を行う上でも重要なデータとなるため、データを公的データベース(あるいは:科学技術振興機構バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)が運用するデータベース)に登録し、国内外の多くの研究者と共有します。]
-
-
NBDCについて
- [具体的な記述例:科学技術振興機構バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)は様々な研究成果を広く共有することを目的とした事業を実施しており、様々な研究成果を格納する公的なデータベースを運用することで、迅速な研究の推進を目指しています。NBDCが運用するデータベースの1つであるNBDCヒトデータベースでは、個人情報の保護に配慮しつつヒトに関する様々なデータを広く共有し、本研究を含む貴重なデータを最大限に活用することで、医学研究等の迅速な発展を目指しています。そのため、国内の研究機関における研究利用に留まらず、学術研究や公衆衛生の向上に貢献する製薬等民間企業や海外の機関における研究へのデータ利用も促進しています。なお、NBDCヒトデータベースでは、日本の法令や指針に準拠した厳格なガイドラインに基づいてデータの管理・公開を行っています。詳しくは、NBDCホームページ [http://biosciencedbc.jp/]をご覧ください。]
-
データを共有することの必要性・重要性
- [具体的な記述例:研究結果がデータベースを介して国内外の研究者に利用されることによって研究全体が推進され、新規技術の開発が進むとともに、今まで不可能であった疾患の原因の解明や治療法・予防法の確立に貢献する可能性があります。]
-
公開されるデータについて
- [具体的な記述例:研究から得られたデータをデータベースから公開する際には、データの種類によってアクセスレベル(制限公開、非制限公開)が異なります。個人の特定につながらない、頻度情報・統計情報等は非制限公開データとして不特定多数の者に利用され、個人毎のゲノムデータ等は制限公開データとし、科学的観点と研究体制の妥当性に関する審査を経た上で、データの利用を承認された研究者に利用されます。]
-
撤回が不可能なデータについて
- [具体的な記述例:研究成果が論文や学会等で発表された場合は、同意を撤回されても論文や学会で発表された内容を取り下げることはできません。また、公的データベースから個人毎のデータが公開されている場合であっても、あなたのデータを特定できない場合は破棄できない可能性があります。]
4-3.提供の手順
- データ提供者は、「4-2.データ提供者の責務」に示している責務を満たしていることを確認する。
- データ提供者は、非制限公開データ・制限公開データ選択、公開待機データの場合の公開時期の設定などについて、NBDCヒトデータ審査委員会事務局と調整等を行う。
- データ提供者は、データ提供申請の手順に沿ってデータ提供申請を行う。その際に、研究計画書(倫理審査申請書)写し、承認通知書写しおよびインフォームドコンセントの同意文書・説明文書のフォームを添付すること。ただし、研究全体の当初の倫理審査等においてデータベースへのデータ登録とデータ共有が許可されている場合には、その旨を示す書類を承認通知書写しに代えることが出来る。
- NBDCヒトデータ審査委員会は、データ受入れ可否について審査する。
- データ提供申請が承認された場合、データ提供者は提供するデータセット(非制限公開データあるいは制限公開データ)を作成する。
- データ提供者は、NBDCが指示する方法に従って、データおよび必要な付随データを送付する。
- データのアップデートおよび分類見直し等のデータの変更については、データ提供者とNBDCヒトデータ審査委員会事務局との協議に基づき、必要に応じて実施する。
5.『NBDCヒトデータベース』からのデータの利用について
5-1.利用資格
5-1-1 非制限公開データ
誰でも利用可能である。
5-1-2 制限公開データ
研究代表者として利用申請できるのは、データセット毎に付加された制限事項に示されるデータ利用者要件を満たす研究者とする。データ利用申請の際には所属機関が発行するメールアドレスを提示すること。
① 関連研究に従事したことのある研究者(大学、公的研究機関、または民間企業等に所属しており、関連研究に関する研究歴のある人)。学術研究もしくは公衆衛生の向上に貢献する研究への利用に限る。申請の際に、利用を希望するデータと関係のある研究に関するこれまでの論文等を提示すること。
5-2.データ利用者の権利
5-2-1 非制限公開データ
- データ利用者は、『NBDCヒトデータベース』のデータを利用した研究成果をデータ利用者の責務及びデータ毎に付加された制限事項を遵守する限り自由に発表できる。
- データ利用者は、『NBDCヒトデータベース』のデータを利用した研究結果をもとにした知的財産権を、データ利用者の責務及びデータ毎に付加された制限事項を遵守する限り自由に取得できる。
5-2-2 制限公開データ
- データ利用者は、『NBDCヒトデータベース』のデータを利用した研究成果をデータ利用者の責務及びデータ毎に付加された制限事項を遵守する限り自由に発表できる。
- データ利用者は、『NBDCヒトデータベース』のデータを利用した研究結果をもとにした知的財産権を、データ利用者の責務及びデータ毎に付加された制限事項を遵守する限り自由に取得できる。
- データ利用者は、所属組織LANに接続するデータサーバの他、『機関外サーバ』の指定領域に、データベースセンターからデータをダウンロードして保管・利用することができる。
5-3.データ利用者の責務
5-3-1 非制限公開データ
- データ利用者は、データ利用に際してのデータの品質・内容・科学的妥当性について、データ利用者の責任と判断のもとで活用すること。
- データ利用者は、下記の事項を遵守すること。
データの利用にあたって遵守すべき基本的事項
-
- 研究利用への限定
- 個人同定の禁止
- 最新データのダウンロード及び使用
-
- データ利用者は、NBDCヒトデータベースを通じて提供されたデータを含む解析結果を論文等で公表する際は、使用したデータセットのアクセッション番号を記載すること。また、当該データセットについて報告した論文の引用、もしくは謝辞(Acknowledgement)として以下の内容**を記述すること。
**【謝辞の例】
「本研究に使用したデータ(の一部)はAAAAプロジェクト/研究グループ(代表者 BBBB)によって取得され、科学技術振興機構(JST)の「バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)」ウェブサイト(http://humandbs.biosciencedbc.jp/)を通じて提供されたものです。」
"(A part of) The data used for this research was originally obtained by AAAA research project/group led by Prof./Dr. BBBB and available at the website of the National Bioscience Database Center (NBDC) / the Japan Science and Technology Agency (JST)."
5-3-2 制限公開データ
- データ利用者は、データ利用に際してのデータの品質・内容・科学的妥当性について、データ利用者の判断のもとで活用すること。
- データ利用者は、データ利用者の全責任(第三者に対する責任を含む)のもとでデータを使用すること。なお、データの管理及び取扱いに問題が発生した際は、データ利用者だけではなく、所属機関長にもその責任が及ぶことを理解し了承すること。
- データ利用者は、NBDCヒトデータベースに登録されている制限公開データを利用する際には、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針※2を遵守しなければならない。すなわち、データ利用者は、『NBDCヒトデータベース』利用について所属機関等の倫理審査委員会の審査・承認を得なければならない。倫理審査申請書(研究計画書)の中には、以下に相当する記載があること。
<倫理審査申請書(研究計画書)の記載内容例について>
◆倫理審査申請書に含まれる項目
【必須項目】- NBDCヒトデータベースに登録されているデータ (JGAS●●●●●●●●●●●/hum●●●●●●)を本研究の解析に使用する。
- ※2:ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針
- 第5 試料・情報の取扱い等
- 15 外部の機関の既存試料・情報の利用
- (1)研究責任者は、外部の機関から既存試料・情報の提供を受けて研究を実施しようとする場合(試料・情報を収集・分譲する場合を除く。)は、提供を受ける既存試料・情報の内容及び提供を受ける必要性を研究計画書に記載して倫理審査委員会の承認を得て、研究を行う機関の長の許可を受けなければならない。
- データ利用者は、下記の事項を遵守すること。
データの利用にあたって遵守すべき基本的事項
-
- データ利用者の限定(申請された研究代表者および研究代表者と同一機関に所属する研究分担者に限る)
- 利用目的の明示
- 申請した利用目的以外への使用の禁止
- 研究利用への限定
- 個人同定の禁止
- 再配布の禁止
-
- データ利用者は、「NBDCヒトデータ取扱いセキュリティガイドライン(データ利用者向け)」を遵守しデータを安全に取り扱うこと。なお、データごとに守るべきセキュリティレベル*が異なるので留意すること。また、NBDCヒトデータ審査委員会あるいはNBDCから依頼された第三者が実施するセキュリティ対策の実施状況についての監査に応じなければならない。
*【セキュリティレベルについて】
原則として標準レベル[Type Ⅰ]のセキュリティが求められるが、データ提供者とNBDCヒトデータ審査委員会との協議に基づき、ハイレベル[Type Ⅱ]のセキュリティが求められる場合がある。[Type Ⅰ]、[Type Ⅱ]の詳細については「NBDCヒトデータ取扱いセキュリティガイドライン(データ利用者向け)」を参照すること。
- データ利用者は、セキュリティレベル(Type Ⅰ、Type Ⅱ)に応じたセキュリティ管理体制を構築し、NBDCが提示する基準に適合していることを確認するため、"書式5)NBDCヒトデータ取扱いセキュリティガイドラインチェックリスト"をNBDCヒトデータ審査委員会事務局へ提出しなければならない。
- データ利用者は、データ利用に際して『機関外サーバ』を利用する場合、NBDCヒトデータ共有ガイドライン及びNBDCヒトデータ取扱いセキュリティガイドラインに加えて、各『機関外サーバ』のシステム利用規約に従うこと。
- データ利用者は、万が一、利用データの漏えい等セキュリティに関する事故が生じた場合は直ちにネットワークから対象機器を切り離し、NBDCに通報すること。その後の事故処理については、NBDCの指示に従い、速やかに実施すること。『機関外サーバ』利用の場合には、サーバの利用規程等に従って、直ちに対策を実施するものとする。
- データ利用者がNBDCヒトデータベースからダウンロードして利用中のデータセットの中に、同意撤回やオプトアウトにおける拒否等についての連絡があった場合は、それ以降当該データを利用しないこと。
- データ利用者は、データ利用終了時には『NBDCヒトデータベース』から取得したすべてのデータ(データ全体あるいはデータの一部が保管してあればそのデータすべて)及び当該データを復元可能なすべてのデータをNBDCヒトデータ取扱いセキュリティガイドラインに沿って削除し、"書式3)データ使用(および破棄)報告書(制限公開データ用)"を用いてデータ使用(および破棄)の報告を行うこと。データを利用した集計・統計解析結果等の二次データの保管については「5-4.利用の手順」の「5-4-2 制限公開データ」を参照のこと。なお、二次データに個人識別符号に該当するデータを含む場合は個人情報として適切に管理するとともに、当該二次データの配布を禁止する。
- データ利用者がNBDCヒトデータベースを通じて提供されたデータを含む解析結果を論文等で公表する際は、使用したデータセットのアクセッション番号を記載すること。また、当該データセットについて報告した論文の引用、もしくは謝辞(Acknowledgement)として以下の内容**を記述すること。
**【謝辞の例】
「本研究に使用したデータ(の一部)はAAAAプロジェクト/研究グループ(代表者 BBBB)によって取得され、科学技術振興機構(JST)の「バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)」ウェブサイト(http://humandbs.biosciencedbc.jp/)を通じて提供されたものです。」
"(A part of) The data used for this research was originally obtained by AAAA research project/group led by Prof./Dr. BBBB and available at the website of the National Bioscience Database Center (NBDC) / the Japan Science and Technology Agency (JST)."
- データ利用者は、『NBDCヒトデータベース』利用状況の公開にあたり、NBDCが個別情報あるいは統計情報を公表することについて了承すること(公開される個別情報の例:利用データのDataset ID、データ利用者氏名、所属機関、データ利用期間、研究題目)。
- データ利用者は、『NBDCヒトデータベース』利用状況の公開に資するため、NBDCが、データ利用者の申請時から利用終了報告時の情報、事故発生時の情報等データ利用に関する情報を保持していることを了承すること。
以上の内容について違反が認められた場合は利用の許可を取り消し、さらに、違反の事実をウェブサイト等で公表することがある。また、以上の内容は研究代表者だけでなく研究分担者にも適用され、研究代表者は研究分担者が本ガイドラインおよび「NBDCヒトデータ取扱いセキュリティガイドライン(データ利用者向け)」を遵守することに対して責任を持つものとする。
5-4.利用の手順
5-4-1 非制限公開データ
データ利用者は、『NBDCヒトデータベース』ウェブサイト(http://humandbs.biosciencedbc.jp/)から、法令の範囲内において自由に利用することが可能である。
5-4-2 制限公開データ
- データ利用者は、データ利用申請の手順に沿ってデータ利用申請を行う。この時、別組織に所属する複数の研究者が共同研究を行う場合は、それぞれの組織毎にデータ利用申請を行う。
- データ利用者は、『NBDCヒトデータベース』利用に関連して、所属機関等の倫理審査委員会の審査・承認を得たうえで、所属機関の長が許可した通知書の写しをデータ利用申請の際に提出する。ただし、審査免除であることが倫理審査委員会で決定された場合は、その旨が記載された書面等を提出する。
- データ利用者は、利用申請に際して、"書式5)NBDCヒトデータ取扱いセキュリティガイドラインチェックリスト"やその他NBDCヒトデータ審査委員会が求める情報や資料を提出する。
- NBDCヒトデータ審査委員会は、データ利用可否について審査する。
- NBDCヒトデータ審査委員会によりデータ利用申請が認められた後に、データへのアクセスに必要な情報が提供されるので、データ利用者はそれを用いてデータにアクセスする。
- データ利用者は、毎年8月にデータの利用状況を"書式3)データ使用(および破棄)報告書(制限公開データ用)"を用いて報告する。また、その際に"書式5)NBDCヒトデータ取扱いセキュリティガイドラインチェックリスト"を再度提出する。ただし、利用開始日から6ヶ月以内に8月末日を迎える場合は、当該8月の提出は不要とする。
- データ利用者は、当初のデータ利用期間を超えて当該データセットの利用を希望する場合は、データ利用期間満了の一か月前までに、所属機関等の倫理審査の承認通知書等(承認された研究期間がわかる書類)と共にデータ利用継続希望期間をNBDCヒトデータ審査委員会事務局に通知することで、データ利用の継続申請とすることができる。
- データ利用者は、データの利用が終了した場合、速やかにすべてのデータ(データ全体あるいはデータの一部が保管してあればそのデータすべて)及び当該データを復元可能なすべてのデータをNBDCヒトデータ取扱いセキュリティガイドラインに沿って削除し、"書式3)データ使用(および破棄)報告書(制限公開データ用)"を用いて、NBDCヒトデータ審査委員会事務局へデータ使用(および破棄)の報告を行う。この時、データを利用することによって生じた集計・統計解析結果等の二次データについては"書式4)二次データ保管申請書(制限公開データ用)"を用いて、NBDCヒトデータ審査委員会事務局へ保管申請を行うことで保管できる。ただし、加工の程度や保管期間によっては申請を却下することがある。
5-5.利用に関する費用
データの利用に際して実費が発生する場合(データの転送にメディア等が必要となる場合や、『機関外サーバ』利用をする場合など)はデータ利用者の負担とする。
5-6.利用の停止
- データ利用者に「5-3.データ利用者の責務」の各事項に対する違反、またはセキュリティガイドラインに反することが疑われる場合、NBDCにおいて不正に関する調査を行ない、調査結果に基づいてNBDCヒトデータ審査委員会が不正の有無を判断する。不正と判断した場合は、
- データ利用者に対しデータの利用停止を命じ、利用中のデータへのアクセス許可を取消す。
- 不正を行なった研究者からの新規利用申請を一定期間受け付けない。期間についてはNBDCヒトデータ審査委員会において決定する。
- 必要に応じてデータ利用者の所属機関長に報告する。
ただし、状況に応じて、疑いがある段階で利用停止を命じることがある。 データ利用者は利用停止の連絡を受け次第、直ちに取得済みデータおよび二次データの全てを消去しなければならない。 また、" 書式3)データ使用(および破棄)報告書(制限公開データ用) "を用いてNBDCヒトデータ審査委員会事務局へデータの破棄状況を速やかに報告すること。
- データ利用者が利用中のデータがデータ提供者の責務違反により公開停止となった場合は、データ利用者にデータの利用停止を求めることがある。その際は、データ利用者に対しデータ利用終了時の手続きと同様の手続きを求める。データ提供者の責務違反により生じたあらゆる損害等については、理由の如何に関わらず、NBDCは一切責任を負わないこととする。
6.本ガイドラインの改訂手続きについて
6-1.改訂内容の提案
データ提供者、データ利用者あるいはデータの利用を検討している者は本ガイドラインを改訂することによって、ヒトに関するデータがより円滑に提供・利用できると考えられる点があれば、事務局へ提案することができる。その際、具体的な提案や該当箇所等を示すこと。
6-2.改訂内容の検討
上記の提案を受けた場合、速やかにその内容をNBDCデータ共有分科会で検討し、提案内容の採否あるいは修正について決定するものとする。
6-3.改訂内容の公表・適用
改訂内容が決定した場合、速やかにその改訂内容をウェブサイトにおいて告知し、NBDCデータ共有分科会が定める一定の期間ののち適用する。なお、適用前にデータ提供あるいはデータ利用の申請を行って許可された者に対しても、申し出の無い限り改訂後のガイドラインが適用されるものとする。
7.その他
7-1.データ提供申請情報およびデータ利用申請情報の公開について
『NBDCヒトデータベース』に対する個別の申請情報のうち、申請者の承諾が得られた情報は公開されるものとする。その他の情報に関しては、NBDCヒトデータ審査委員会委員およびNBDCヒトデータ審査委員会事務局員はこれを関係者以外に公開してはならない。
7-2.不正確なデータ等の指摘について
『NBDCヒトデータベース』における不正確なデータについてのデータ利用者からの指摘は、NBDCヒトデータ審査委員会が受付けて、データ提供者に通知し、対応を協議するものとする。同意取得方法の不備や同意の捏造の可能性等に関する同意者等からの指摘についても同様とする。
連絡先: NBDCヒトデータ審査委員会事務局
7-3.ねつ造や改ざん等による研究不正に関する調査について
- 『NBDCヒトデータベース』に格納されているデータについて、NBDCに研究不正に関する調査への協力依頼があった際には、NBDCは協力することがある。
- 不正調査委員会等の責任者は、検証を実施するために必要なデータのDataset IDと検証の必要性についてNBDCへ申し出ると共に、データを保管するサーバのセキュリティ状況を"書式5)NBDCヒトデータ取扱いセキュリティガイドラインチェックリスト"を用いて報告すること。
- 不正調査委員会等の責任者の全責任のもとでデータを使用すること。
- 不正調査委員会等の責任者は、5-3.データ利用者の責務5-3-2.制限公開データ4.『データの利用にあたって遵守すべき基本的事項』を遵守すること。
参照
Ver. 3.0からの変更点:
Ver. 3.0との新旧対照表はこちら
Ver. 3.0はこちら
以上