国立遺伝学研究所 DNA Data Bank of Japan (DDBJ)センターと科学技術振興機構 バイオサイエンスデータベースセンター (NBDC)は2013年10月から、アクセス制限が必要なヒト表現型・遺伝型データの共有拠点であるJapanese Genotype-phenotype Archive (JGA)を協力して運用しています。
研究者に塩基配列を公的なデータベースに登録することをリマインドするINSDC諮問委員によるレターがNatureとScienceから公表されました。このレターでは塩基配列データをオープンアクセスデータベースであるINSDCに、一方、アクセス制限が必要なヒトの表現型・遺伝型データはINSDCとは別枠のデータベースであるNCBI Database of Genotypes and Phenotypes (dbGaP), EMBL-EBI's European Genome-phenome Archive (EGA)、もしくはDDBJ's Japanese Genotype-phenotype Archive (JGA) に登録することの重要性が強調されています。また、JGAはScientific Dataジャーナルがデータの登録先として推奨するデータベース一覧にも掲載されています。
利用可能なデータはJGAとNBDCのウェブサイトで公開されており、2016年6月8日の時点で28のStudyが利用可能です。 これからもDDBJセンターとNBDCはJGAを発展させ、ヒトデータの共有を促進し、生物医学研究の発展を加速させていきます。
【 背 景 】
研究対象者のプライバシーと本人の意思を尊重しながら個人ゲノムデータを有効活用するためには、データを共有するためのデータベースと共有に関するポリシーやガイドラインが確立されている必要があります。米国ではNational Institutes of Health (NIH)がヒトデータ共有に関するガイドラインの整備をいち早く進めてきました。日本でも2013年にNBDCがガイドラインを公表しました。JGAへのデータ提供とJGAデータの利用はNBDCのヒトデータ審査委員会がガイドラインに則って審査しています。
JGAは登録者によって二重匿名化されたデータを受付けています。JGAはヒトに関するあらゆるデータ、マイクロアレイや次世代シークエンサーから出力される生データ、画像データや表現型情報をアーカイブしています。アライメント、アセンブリや変異解析といった解析後のデータも登録可能です。JGAに登録されたデータファイルはそのまま暗号化されて保管されます。JGAではEGAをベースにしたデータモデルでデータを管理しており、プレフィックス ‘JGA’ のアクセッション番号をStudyとStudyに含まれるオブジェクトに発行しています。NBDCヒトデータ審査委員会で承認されると、利用者は承認されたデータを専用ツールでダウンロードして利用することができるようになります。